一口にサウナと言っても、「ドライサウナ」や「ミストサウナ」「ボナサウナ」など、その種類はさまざまです。「どのような違いがあるのかわからない」「ダイエットにはどのサウナがよいのか知りたい」という方もいるのではないでしょうか。
今回は14種類のサウナの特徴を、サウナ初心者の方にもわかりやすく解説します。効果・目的別の選び方もご紹介していますので、サウナ選びの参考にしてください。
サウナの種類は温度・湿度によって3つに分けられる
サウナにはさまざまな種類がありますが、温度や湿度の違いによって「乾式サウナ」「フィンランド式サウナ」「湿式サウナ」の3つに区別することができます。それぞれの特徴を以下にまとめました。
乾式サウナ | フィンランド式サウナ | 温式サウナ | |
---|---|---|---|
温度 | 高温 (80~100度) | 中温 (60~80度) | 低温 (40~60度) |
湿度 | 低い 5~10% | 中間 15~30% | 高い 80~100% |
特徴/メリット | からっとして熱い 爽快感が強い | じっくり入れる 香りや熱波を楽しめることも | 息苦しくない 肌や髪への負担が少ない |
代表的なもの | ドライサウナ | ロウリュサウナ | スチームサウナ ミストサウナ |
ある場所 | 公衆浴場 一部の旅館 など | スーパー銭湯 サウナ施設 など | スーパー銭湯 サウナ施設 など |
日本の公衆浴場や一部の旅館などに設置されているサウナで最も多いのが、「乾式サウナ」です。サウナ室内の温度は80~100度と高温で、中には120度になる施設も。湿度が低く、からっとしています。
一方、「湿式サウナ」はその名の通り多湿で、温度も低めに設定されていることが一般的です。比較的呼吸がしやすく、湿度が高いため肌や髪にもやさしいと言われています。
「フィンランド式サウナ」とは、サウナ発祥の地、フィンランドのサウナを模したサウナのこと。温度・湿度ともに、乾式サウナと湿式サウナの間に位置し、熱したサウナストーンに水やアロマ水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」を行うことが特徴です。
こんなにも多い!14種類のサウナの特徴
サウナは「温度・湿度」によって分類できる他、「使用するもの」や「形状」によってもさまざまな呼称があります。ここでは、14種類のサウナの特徴を見ていきましょう。
ドライサウナ
乾式サウナの多くは、このドライサウナです。薪ストーブや電気ストーブを使用し、室内を100度前後にまで温めます。サウナ室の扉を開けた瞬間に熱気を浴び、人によっては息苦しさを感じることもあるかもしれません。また、湿度が低く肌や髪が乾燥しやすいことから、保護のためにサウナハットを被ることが推奨されています。
発汗までに時間がかかることもありますが、短時間で血行を促進する効果があると言われているため、肩こりや腰痛などの症状がある方、疲労を回復したい方におすすめです。ただし、高血圧や心臓病などの持病がある方は体に負荷がかかるため、利用を避けましょう。
遠赤外線サウナ(コンフォートサウナ)
遠赤外線サウナは、遠赤外線を利用した乾式サウナです。ドライサウナはサウナストーブで熱せられた空気から体に熱が伝わる「対流」という仕組みですが、遠赤外線サウナは物質に吸収されると熱に変わる特性のある遠赤外線を「放射」することで直接体を温めます。
室温は60~80度とドライサウナに比べて少々低めですが、人が出入りするたびに室内の熱が外に逃げることがないため、エネルギー効率は高いと言えるでしょう。息苦しさを感じにくく、体への負担も少ないので、「コンフォート(=快適な)サウナ」とも呼ばれ、家庭用サウナとして導入されることもあります。
ロウリュサウナ
ロウリュサウナは「ロウリュ」を行うサウナを指すため、フィンランド式サウナと同義です。キウアスと呼ばれるサウナ専用のストーブで室内を温め、ストーブ上のサウナストーンに水をかけるロウリュによってサウナ内に熱い蒸気を充満させます。ドライサウナに比べ室温が低く、湿度も高いため、ヒリヒリとした感覚や息苦しいのが苦手な方も無理なく入ることができるでしょう。
ロウリュでは、水だけでなく、アロマオイルやハーブを加えたアロマ水を用いる施設もあり、リラックスしながらじっくりと発汗したい方におすすめです。近年は、ロウリュで発生した蒸気を施設スタッフがタオルやうちわで仰ぎ、熱波を楽しむ「アウフグース」を行うところも増えています。
ロッキーサウナ
ロッキーサウナも、フィンランド式サウナの一種です。ロッキー山脈が名前の由来で、ストーブの上にサウナストーンが山盛りに積まれているサウナを指します。熱したサウナストーンに水をかけるロウリュによって発汗が促され、効率的に汗をかくことができるそうです。
スチームサウナ
湿式サウナに分類されるスチームサウナは、名称の通り、スチーム(蒸気)を発生させることで室内を温めるサウナです。ロウリュのようにサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させるのではなく、ボイラーで圧力をかけた蒸気を噴霧します。
湿度は約80~100%になりますが、温度は40~60度とドライサウナに比べて低温なため、息苦しさが少なく、リラックスしながらゆっくりと入ることができるでしょう。
ミストサウナ
ミストサウナも湿式サウナの一種で、室温や湿度はスチームサウナと同じくらいです。70度程度の温水をミスト(霧)状にして噴射することで室内の温度と湿度を上げます。
前述のスチームサウナとの違いは、物質の状態です。スチームサウナは「気体」ですが、ミストサウナは「液体」のため、上から下に噴射されます。ミストの種類も、施設によってアロマやヨモギなど、さまざまなバリエーションがあるようです。
アイスサウナ(コールドサウナ、スノーサウナ)
日本のアイスサウナは、サウナで温まった体を冷やすためのサウナを指すことが一般的です。コールドサウナやスノーサウナとも呼ばれる通り、室内温度がマイナス20~10度とかなり低温で、氷や雪を積み上げてつくられることもあります。
水風呂は水に浸かることで体を一気に冷やしますが、アイスサウナは室内の冷気でゆっくり体を冷やすという特徴があります。日本で体験できる施設はあまり多くありませんが、水風呂が苦手な方やユニークな体験をしたい方におすすめです。
フィンランドでは、氷でつくったかまくらのようなサウナ室の中でストーブを焚き、サウナを楽しむことをアイスサウナと言うようです。
ボナサウナ
ヒーターがベンチ下に格納されているサウナを、ボナサウナと言います。ヒーターの格納により室内を広々と使用でき、視覚的にも開放的であることが特徴です。室温や湿度はサウナ施設によって異なり、高温低湿の場合もあれば、ミストを導入して多湿な場合もあります。下から上へと徐々に熱が伝わるため、ドライサウナとは違いじっくりと発汗する体験ができるでしょう。
マグマ式サウナ
マグマ式サウナとは、通常のサウナストーンではなく、マグマプレートを使用したサウナのこと。マグマプレートは熱反射効率と遠赤外線効果が高いと言われているため、体を芯から温めるのに適しており、代謝や免疫力の向上に寄与するそうです。また、天然溶岩であるマグマプレートにはミネラル成分が豊富に含まれていることから、美容効果も期待できるようです。
ケロサウナ
ケロとは、フィンランドの一部の地域で採れる木の名前です。ケロサウナはこのケロ材を使用したサウナのことで、ケロ特有の甘くリラックス効果のある香りを楽しむことができます。ストーブや室内温度、入り方は、フィンランド式サウナと変わりません。
ケロは乾燥に強いのでサウナ材として最適ですが、流通量が少なく希少価値が高いため「幻の木材」と言われています。国内ではごく少数の施設でのみ味わうことができるようです。
塩サウナ
塩サウナは、サウナ室内に設置された塩を体に塗って楽しむサウナです。塩を塗ることで発汗作用が促進され、毛穴汚れや古い角質の除去といった美肌効果も期待できると言われています。
塩を使用する際は、ゴシゴシと擦りつけると肌を傷つけてしまうため、最初は肌にのせる程度にし、塩が汗で溶けてきたらやさしくマッサージするように伸ばしていきましょう。ニキビなどの炎症や傷に塩を塗ると悪化するリスクが高いため、避けてください。サウナ室を出る際は、座った場所の塩を流してから退室しましょう。
スモークサウナ
スモークサウナの歴史は古く、「元祖サウナ」「サウナの原点」「キングオブサウナ」とも呼ばれます。使用方法は、まずサウナ小屋内で薪を燃やし、煙・熱気・蒸気を室内に充満させていきます。小屋・ストーブには煙突がないため、人が入ることはできません。室内が十分に温まったところで通気口から煙を排出し、人が入室できるようにします。入室後は60~80度に保たれた室内でロウリュをしながらサウナを楽しむそうです。
落ち着いたスモークのにおいが深いリラックス効果を誘い、煙によってゆっくりと蓄積された熱が徐々に体を温めてくれます。ただし、スモークサウナの準備には約7時間を要すると言われており、近年は手間をかけず気軽に楽しめるサウナも多数登場していることから、現在日本で体験できる施設はごく限られています。
バレルサウナ
バレルサウナとは、バレル(樽)を横向きにしたような、円筒形の木製サウナのこと。大きさはさまざまですが、2~4人前後の少人数向けにつくられることが一般的です。サウナ小屋として独立しているため、サウナ施設に設置されている他、家庭や企業向けにも販売されています。
こじんまりとしている分、熱が室内に回りやすく、その形状から場所による温度ムラがあまりないことが特徴です。木材の香りと温もりを楽しみながらじっくり入浴できますが、外気温の影響を受けやすいため、冬季の利用は不向きと言えるでしょう。
テントサウナ
テントサウナは、耐火性のテントの中にストーブを設置した簡易的なサウナです。持ち運びができ、設営も簡単なことから、キャンプ場などに設置されている他、個人用としても楽しまれています。基本的に屋外で使用するため、サウナ後に外気浴を行える点もメリットです。ただし、バレルサウナ以上に外気温の影響を受けやすく、風の力にも弱いため、雨天時・悪天時には使用しない、もしくは対策をしっかり行う必要があります。
【目的別】サウナの選び方
「温度や湿度」から自分に合うサウナを選ぶのもよいですが、「目的」からサウナの種類を選ぶことも可能です。ここでは、目的別にサウナの選び方をご紹介していきます。
【サウナ初心者】無理なくサウナを体験したい
サウナに入ったことがない、サウナに慣れていないという方には、「スチームサウナ」「ミストサウナ」「遠赤外線サウナ」などの息苦しさを感じにくいサウナがおすすめです。
サウナに慣れていないうちからいきなり高温低湿のサウナに入ると、暑さで体調を崩してしまうリスクがあります。これらのサウナはドライサウナに比べ温度が低く、呼吸もしやすいため、熱ストレスが少なく、暑さに弱い方や年配の方にも入りやすいと言えるでしょう。これらのサウナで暑さに慣れてから、フィンランド式サウナやドライサウナなどの種類に挑戦することで、自分に合った温度・湿度を知ることができます。
爽快感を得たい、ストレスを解消したい
爽快感を得たい、ストレスを解消したいという方は、温度が高い「ドライサウナ」や「フィンランド式サウナ」を利用するとよいでしょう。
サウナと水風呂に交互に入る「温冷交代浴」と休憩(外気浴)によって、「ととのう」と呼ばれる独特の爽快感や陶酔感を得ることができるかもしれません。また、高温のサウナで思い切り汗をかくことは、エネルギーの再生産を促し、疲労回復効果を高めるとも言われています。サウナ直後は疲労を感じるかもしれませんが、温冷のサイクルを回し、十分な水分と休憩をとることで、その効果を実感しやすくなるようです。
美容効果を狙いたい
美容効果を狙うには、「スチームサウナ」や「ミストサウナ」などの低温多湿のサウナがおすすめです。保湿と発汗の効果が高いと言われているため、髪や肌を乾燥から守りながらサウナを楽しめます。汗とともにアクネ菌などの老廃物や汚れが排出されることで、ニキビ予防や体臭の軽減などにもつながると言われています。
むくみ解消やダイエットにつなげたい
むくみの解消やダイエットにつなげるなら、高温低湿のサウナを選ぶのがよいと言われています。まず、大量の汗とともに余分な水分や疲労物質が排出されるため、むくみの解消が期待できるようです。また、血流量の増加により新陳代謝が促されることで、脂肪を燃焼しやすい体の土台をつくることができるかもしれません。
より効果を高めるには、エネルギーを消費しやすい空腹時のサウナ利用がおすすめと言われています。サウナ後に食事をする場合は、通常時より吸収力が高まる傾向にあるため、食事量を控えめにしたり、メニューや食べる順番に配慮したりといった工夫をしましょう。
目的や体調に合わせてサウナを選ぼう
サウナの種類は「温度・湿度」や「使用するもの」「形状」によって多岐にわたります。ただし、体調に合わないサウナを選んだり正しく利用しなかったりすると熱中症や脱水症になる危険があるため、自分の健康状態や体調に合わせて、無理をしないサウナ選びや入り方をすることが大切です。今回ご紹介したサウナの種類を参考にしながら、自分好みのサウナを見つけてみてはいかがでしょうか。