八ヶ岳北麓に位置し「日本一の白樺群生地」を有する長野県南佐久郡佐久穂町八千穂高原。標高約1,300mの駒出池キャンプ場内に、アウトドアサウナ施設「八千穂SAUNA」があります。「他では味わえない個性的なサウナを体験してほしい」と語るのは、八千穂SAUNAのオーナー・白樺薪男さん。八千穂高原でしか味わえないサウナの魅力とはいかなるものなのか。浅間サウナラインのサウナー大北が話を伺いました。
大自然の中のとてつもないサウナ体験を提供したい
大北:お名前が斬新ですね!
薪男さん:佐久穂町が誇る白樺林と薪焚きサウナをかけ合わせて白樺薪男と名乗っています!
大北:薪男さんはいつ頃からサウナに入り始めたんですか?
薪男さん:学生の頃から好きで、温浴施設にあるドライサウナはよく利用していました。しかし、社会人になって、フィンランド式のロウリュサウナに出会い、これだと気付いたんです。テントサウナを買って佐久穂町の実家に設置し、帰るたびに入っていたらどハマりしちゃって。
大北:それで佐久穂町にUターンを?
薪男さん:サウナに入るために帰省していたら、新しいことを始めたくなったんです。佐久穂町の特産品である白樺と、僕が大好きなロウリュサウナをかけ合わせたら、町の活性化にもつながるだろうし、何より究極のアウトドアサウナを作れるのではないかと。自信はありました。それで母親と一緒にサウナ施設を作ることにしたんです。
大北:お母さんと!
薪男さん:みなさんからも「お母さん」と呼ばれています(笑)。母親が社長になって2020年に株式会社八千穂SAUNAを設立しました。
大北:八千穂SAUNAの設立場所は最初からこの駒出池キャンプ場に決めていたんですか?
薪男さん:最初は、同じ八千穂高原にある八千穂レイクという場所でやりたいと思っていましたが、八千穂高原は「八ヶ岳中信高原国定公園」に指定されているので行政の手続きなどがものすごく大変なんです。
大北:そうなんですね。
薪男さん:自然保護の観点から、公衆浴場を新たに設置するのは難しいだろうと。そこで、町に相談し、民間が指定管理をしている駒出池キャンプ場を紹介され、テナントとして八千穂SAUNAが入ることになりました。
大北:ロケーションがいいですよね。
薪男さん:大自然に囲まれていて、川が近くにあるのが一番のポイントですね。
大北:どこまでが施設でどこからが国定公園なのかわからない。
薪男さん:民間業者が指定管理をしているエリアとはいえ、国定公園にこれだけの規模のアウトドアサウナを展開しているところは、他にはないみたいですね。
大北:自然の中で遊ぶようにサウナに入れる施設は、唯一無二なのでは?
薪男さん:薪ストーブサウナ×渓流水風呂×森林浴外気浴で、異次元のととのい、とてつもないサウナ体験を提供したいと考えています。
爆風ロウリュ!?独自のサービスが魅力
大北:八千穂SAUNAの施設について教えてください。
薪男さん:サウナロッヂとテントサウナ、バレルサウナが合計6基。さまざまなサウナを体験していただくことができます。水風呂として山から湧き出る水をためたプールを用意していますが、なんといっても渓流に入れるのが魅力です。夏場でも水温が14度位なので気持ちよくととのうことができるんです。
大北:ロウリュに使うアロマ水も種類が豊富ですね!
薪男さん:天然の白樺水、麦茶、紅茶、ピーチローズ茶、はちみつレモン茶、トロピカル茶、季節のアロマなど、たくさん用意しています。
大北:先ほどサウナに入らせていただいたんですが、ロウリュのときにベトナムミュージックをかけているのも個性的ですよね。
薪男さん:昔ベトナムによく行っていた時期があったんです。繁華街で流れているクラブミュージックがすごく自分に染み込んでいて。テンポがよくて、4~5分程度で一曲が終わるので、ロウリュにぴったりだなと思って採用しました。
大北:八千穂SAUNAの名物といえば、ブロワを使った「爆風ロウリュ」!
薪男さん:平日はブロワをセルフでお使いいただけます。土日は私がゲリラ的に「激アツ爆風ロウリュ」イベントを開催しています。
大北:こちらも体感したんですが、なんというか、エンターテインメントでしたね。音楽に合わせ無心でロウリュし、ブロワで煽り続ける薪男さん…!ストーブに最も近いところで、一番熱波にやられていそうな感じもしましたが(笑)。
薪男さん:お客様に楽しんでいただくのが大事なので!!
究極を追求し続ける癖の強い男
大北:改めて眺めてみると、小屋サウナだけでなく、テントサウナやバレルサウナなど、さまざまなサウナ体験ができるのがユニークですよね。
薪男さん:一度にいろんなサウナを体験できる場所は、多くないでしょうね。
大北:これだけ充実しているのに、2時間3,000円はコスパがよい!
薪男さん:できるだけ多くのお客様をお迎えしたいので2時間毎の入れ替え制で、同時間帯に20~25名ほどのお客様が利用できるようにしています。連続稼働することで価格を抑えています。
大北:最近のトレンドだと、プライベートサウナやアウトドアサウナは利用人数を絞って高価格帯で提供する施設が多い印象です。
薪男さん:逆をいっていますね。僕たちはサウナの裾野を広げることをミッションに掲げていますから。キャンプ場内にあるので、子どもたちもサウナに親しんでもらえるとうれしいな。
大北:薪男さんの楽しみややりがいは何ですか?
薪男さん:お客様にうちのサウナを体感してもらって「最高です!」「過去イチです!」と言っていただくことでしょうか。だから、お客様が喜んでくれるよう工夫することがなにより楽しい。
大北:お客様を楽しませながら、薪男さんも一緒に楽しんでいるのが伝わります。薪男さんにとってサウナとは何ですか?
薪男さん:「自然と一体化すること」。サウナは単体で楽しむのではなく、サウナ、水風呂、外気浴が合わさってこそ最高の体験になると思っています。熱いサウナを出た後の冷たい渓流、山の緑とそよ風を感じながらの外気浴。大自然と一体化できる体験がサウナだと。都会じゃ体験できない、究極のアウトドアサウナを楽しんでほしいですね。
大北:尖っていますねぇ(火入れのスタイルも独特…)。
薪男さん:昔からこんな感じです。「尖っているね」「癖が強いね」と言われるとうれしいです!
大北:運営する上で薪男さんが大切にしていることは何ですか?
薪男さん:お客様の声です。厳しいレビューをいただいたときには、できるところから対応します。去年、人手不足でプールの外側の泥はね掃除が行き届いていなくて。それをお客様からご指摘され、すぐに改善しました。お客様の声には全力で応えていきたいですね。
大北:レビューも癖が強い方がうれしいんですか?
薪男さん:レビューは優しい方がうれしいです(笑)。
都会にはないアクティビティでさらなる充実を
大北:八千穂SAUNAを運営する上で、課題はありますか?
薪男さん:シーズンオフの期間をどうするかですね。キャンプ場内にあるため、冬場は施設を休業しているんですよ。
大北:休んでいる間は何をされているんですか?
薪男さん:テントサウナの開発をしています。
大北:テントサウナを自分で作っちゃうんですか!
薪男さん:これまで市販のテントサウナを使っていたんですが、なかなか求めるものに出会えなくて。それだったら、安くて持ち運びしやすくて耐熱性が非常に高い、理想のテントを自分で作ればいいじゃん!と。
大北:販売はしているんですか?
薪男さん:ストーブとセットで15万8,000円で販売していて、現時点で6個ほど売れました。小さいサイズのサウナ小屋も作っています。ほかには、サウナハット、タオルなどのサウナグッズを制作・販売も。
大北:グッズが充実していますね。
薪男さん:うちでしか提供できない商品をどんどん開発して、キャンプ場や個人に展開していきたいです。
大北:ほかにも今後やってみたいことはありますか?
薪男さん:サウナ体験をさらによいものにするため、キャンプ場内にサウナ飯専用バーベキュースペースを作りたいです。サウナ飯をキャンプ飯として自分で作れたら楽しそうじゃないですか。八千穂高原はロケーションも水質も最高なので、サウナ以外のアクティビティをもっと充実させたいですね。
大北:都会では体験できないサウナを、八千穂SAUNAでぜひ体験してみたいです!薪男さん、ありがとうございました!
八千穂SAUNA
website:https://yachiho-sauna.jp/
住所:長野県南佐久郡佐久穂町大字八郡2049-856
電話番号:070-1467-2751
休業日:木曜日、冬季
利用可能時間:<平日>12:00〜14:00、14:30〜16:30、17:00〜19:00
<土日祝日>9:30〜11:30、12:00〜14:00、14:30〜16:30、17:00〜19:00 ※完全予約制
<聞き手>
大北達也
野尻湖The Saunaでの体験でアウトドアサウナに目覚める。給付金をテントサウナにつぎ込み、他の会社の敷地にセルフビルドサウナ小屋を建て始める。アウトドアサウナビギナーをととのいの向こう側に届けることが喜び。
<photo>杉山亜衣