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TOPインタビューサウナと関われる人生がただただ幸せ~The Saunaスタッフ 土屋瞳さん~

サウナと関われる人生がただただ幸せ~The Saunaスタッフ 土屋瞳さん~

サウナと関われる人生がただただ幸せ~The Saunaスタッフ 土屋瞳さん~

北信五岳に囲まれ、妙高戸隠連山国立公園の一環である野尻湖や黒姫山を有する長野県信濃町。のどかなこの町は、「The Sauna」の誕生によって、全国のサウナーに一気に知れ渡りました。The Saunaは、アウトドアサウナの先駆者である野田クラクションべべーさんが、2018年、宿泊施設「LAMP 野尻湖」内に作った「ユクシ」を前身とするサウナ施設です。今回は、The Saunaの人気を支えるスタッフの一人、土屋瞳さんにお話を伺いました。土屋さんは佐久市望月地区で生まれ育ち、教員やパーソナルトレーナーの職を経てサウナ番に就任したという異色の経歴の持ち主。「サウナ番のお手並み拝見!」と、浅間サウナラインのサウナーきむが、土屋さんこだわりのサウナを体験してきました。サウナ後のインタビューで、土屋さんのサウナ愛と素顔に迫ります。

最高のおもてなしに感謝!ハードなサウナ番を笑顔でこなす原動力は?

きむ:いやぁ、今日のサウナも最高でした。土屋さん、サウナ番ありがとうございました。

土屋さん:そう言ってもらえてうれしいです〜!今日入っていただいた4号棟のネリャは3時間貸切制なので、ゆったりとした気持ちで過ごせますよね。

きむ:声掛けやロウリュのタイミングなど、お客さんとの距離感が絶妙で、とても心地よかった。

土屋さん:サウナ番をするときに、お客さんとの距離感を一番大切にしているんです。自分がよいと思ったことでも、相手が求めていなかったらイマイチじゃないですか。お客さんが何を望んでいるのかを一歩引いたところからくみ取るようにしています。

きむ:土屋さんはいつもニコニコしていて、楽しそうなのがすごくいい!そのホスピタリティはどこから湧いてきているんですか?

土屋さん:みんなに、The Saunaで働き始めていつも笑っているねと言われます。私自身は特に意識していないんですけど、きっと楽しいんでしょうね。だって好きなことしかしていないから。サウナとバスケとおいしいものを食べること!

きむ:そうそう、土屋さんはバスケもしていますよね。サウナとバスケ、2つはつながりがあるんですか?

土屋さん:学生の頃からずっとバスケをしていました。今も、The Saunaで働きながら、上田市を拠点としている社会人バスケットボールチーム「Signpost」に所属してプレーしています。

きむ:サウナ番だけでも結構ハードなのに、選手としてもプレーしているなんてすごい体力!大変じゃないですか?

土屋さん:私にとっては両立させることでどちらにもプラスになっているんですよ。サウナ番をしていると1日2万歩を歩くし、力仕事も多いので、自然とトレーニングになっています。

きむ:2万歩!

土屋さん:バスケをプレーしたあとここに戻ってきてサウナに入れば、疲れた体をリセットできる。おかげでよく寝れるから、翌朝また元気にスタートをきれます。

きむ:バスケとサウナが、土屋さんの中でよい循環を作っているんですね。

土屋さん:そうなんです!ただ、無謀にも練習試合の後にサウナのシフトを入れた日があって…。さすがに足が棒になりました(笑)。

感覚を研ぎ澄ませてくれるサウナとの出会い

きむ:サウナにここまでハマるようになったきっかけを教えてください。

土屋さん:私、今年で24歳なんですけど、大学の後半はほとんどコロナ禍で。みんなと一緒に卒業旅行に行くこともできませんでした。勤め始める前に1人で近場へ旅行しようと思い、選んだのが野尻湖のLAMPでした。

きむ:サウナ目的ではなく、宿泊目的で来てみたら…?

土屋さん:それまで全然サウナには興味がなくて、ここで初めてフィンランド式サウナを見て「こういうサウナがあるんだ」と知ったんです。それで入ってみたら。

きむ:ハマっちゃったんだ。

土屋さん:え、めっちゃいい!ってなったんです。まだ肌寒い3月だったんですけど、澄んだ空気と満天の星に包まれる外気浴に、うわあ、気持ちいい!ヤバッ!と感動して。

きむ:初めてのときは感動するよね〜!

土屋さん:サウナ番をしてくれたスタッフさんが、ちょうどよい距離感でやさしく接してくれたことも印象に残っています。

きむ:そこからサウナめぐりが始まると。

土屋さん:そうなんです。いろんなサウナに行きはじめ、気づいたら生活の一部に。QOLが爆上がりしました!

きむ:そこ詳しく聞きたいですね。どんな感じで爆上がりしたのか。

土屋さん:スポーツをやっていると、やはり少しずつ衰えを感じるときがあります。疲れやすくなったり、体が重く感じたり。そういうときでもとりあえずサウナに入っておけば軽くなるんですよね。

きむ:気持ちの面でもリセットされる感覚ありますか?

土屋さん:メンタルリセットしようと思って入ることはないんですけど、サウナに入ると何も考えられなくなるじゃないですか。それによってシンプルな感覚だけが体内に残る感じがします。風が気持ちいいとか、空がきれいとか、ご飯がおいしいとか。

きむ:うんうん!

土屋さん:サウナに入れて幸せだな~って真剣にそう思います。

「自分らしい生き方とは?」その答えがサウナ作りだった

きむ:土屋さんのサウナ愛はとてもよくわかったんですが、そこからサウナを職業に選ぶまでには距離があると思うんです。サウナ施設で働こうと思った理由はなんですか?

土屋さん:私、いつか自分でサウナ施設を作りたいと思っているんです!

きむ:え!そうなんですか!

土屋さん:生まれ育った望月のまちで。ただ、そこに至るまでにはいろいろな変遷がありました。大学卒業と同時にサウナに目覚めた私は、新卒で高校教諭として1年働きました。保健体育の先生です。

きむ:先生になりたいと思っていたんですね。

土屋さん:子どもの頃から憧れていたのに、学生から「先生」と呼ばれることに違和感を感じて。1年で学校を辞め、パーソナルトレーナーとして働き始めました。大学でトレーナーの資格を取っていたんです。誰かをサポートする人になりたいという思いがあったんでしょうね。

きむ:トレーナーの仕事はどうでしたか?

土屋さん:とてもよい経験をさせていただきました。ただ不思議と、トレーニングの過程で出会った人たちとのやりとりや体験を通して、自分の中から問いが生まれてきたんです。「本当は何がしたいんだろう」「自分らしくいるために何をすればいいんだろう」と。

きむ:うんうん。

土屋さん:気になるコミュニティに参加してみたり、自己分析ツールを利用してみたり、いろいろと模索しました。だんだんと「大好きなサウナを通して何かをやりたい」という気持ちが強くなって、気付けば…。

きむ:サウナのよさに気づかせてもらった、The Saunaで働き始めたってことなんですね。

土屋さん:サウナに関する仕事をしたいと、The Saunaのスタッフの方に自分の気持ちを伝えたら、「いいじゃん、働いちゃいなよ」と受け入れてくれて。今となってみれば、迷うことも必要な時間でした。人のために何かできるのか、自分の好きなことはなんなのかを見つけるために。

きむ:The Saunaで働き始めて3カ月(取材時)とのことですが、実際に働いてみてどうですか?

土屋さん:毎日が本当に楽しいです。できることも少しずつ増えて、お客さんから「今日の〇〇はよかった」と言ってもらえるとうれしいですね。でもまだ、失敗も多い。お客さんと話しすぎてストーブの火が弱くなったり、フロントでオーダーを間違えたり(笑)。

きむ:サウナ施設での仕事内容って本当にいろいろありますものね。

土屋さん:私食べることも大好きなので、LAMPのおいしいご飯を食べられるのは最高です!

きむ:いつか自立するために、順調に経験を積んでいるんですね。

土屋さん:まだまだです。まずはまさに私がそうだったようにLAMP・The Saunaを訪れた人が心身ともに健康になって、幸せになって帰っていく場所に、もっと多くの人の好きな場所にしていけるように、レベルアップ、パワーアップしていきたいです。

望月の地元資源を活かしたサウナを異世代交流の場に!

きむ:サウナ作りも地元の望月で?

土屋さん:はい、望月が大好きなので。なんにもないけどそれがいい。なんにもない場所だからこそ特別なサウナ体験を提供できるんじゃないかと思っています。

きむ:すでにサウナの構想は固まっていますか?

土屋さん:以前は、ゴリゴリのトレーニングや食事ができるサウナをイメージしていましたが、「やっぱり違う。望月の魅力が伝わるサウナじゃなきゃ」と思っています。

きむ:具体的には?

土屋さん:望月の地元資源を活かした体験を提供したいですね。たとえば、農作業の後にサウナに入って、収穫した野菜を食べる農業体験セットプランとか。保護者がサウナに入っている間、子どもは地元のおじいちゃんおばあちゃんから生きる知恵を学べる異世代交流プランとか。温泉施設との連携プランもいいかな!

きむ:地元資源を活かしつつ、異世代交流もできるサウナ!

土屋さん:託児があればお母さんが子ども連れで来館できるし、ドッグランがあればペットと一緒に楽しめるなと。そういった妄想を膨らませています。

きむ:他にはないサウナになりそうですね。

土屋さん:子どもからシニアまでいろいろな人を大切にできるような場所を作りたいです。

きむ:今から楽しみです!本日はありがとうございました。

土屋さんのサウナ番により整ったサウナ―たち

The Sauna
website:https://lampinc.co.jp/nojiriko/sauna/
住所:長野県上水内郡信濃町野尻379-2
電話番号:026-258-2978
営業時間:施設ごとに異なる ※完全予約制

<聞き手>
きむくみ
コワーキングスペースのような研究所「Gokalab」にいる人。教育、ライティング、エディターなどを経て、現在は飲食事業・コワーキングスペースの運営に携わる。会社の敷地内にサウナ小屋を作ったことをきっかけに、サウナ関連プロジェクトにもかかわっている。