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TOPインタビュー850名の大企業にサウナ部ができた理由とは!?~シナノケンシ株式会社 保坂圭太郎さん~

850名の大企業にサウナ部ができた理由とは!?~シナノケンシ株式会社 保坂圭太郎さん~

850名の大企業にサウナ部ができた理由とは!?~シナノケンシ株式会社 保坂圭太郎さん~

長野県上田市にあるシナノケンシ株式会社。設立は1918年(大正7年)、主に精密モータを手掛け、アメリカやヨーロッパ、中国、メキシコでも事業を展開する製造業の企業です。本社に850名、グループ全体では4,000名の従業員が在籍する会社に、2023年6月新たに「サウナ部」が発足したとの情報が舞い込みました。長野県内ではあまり聞かない企業内サウナ部が、なぜ立ち上がったのか。サウナ部事務局 保坂圭太郎さんに、浅間サウナラインのサウナーきむがインタビューしました。

2023年初夏、サウナ部発足!

きむ:サウナ部の発足、おめでとうございます!

保坂さん:ありがとうございます。

きむ:保坂さんはサウナ部の事務局を担当されていると伺いました。立ち上げもお一人で?

保坂さん:実は人事部の先輩である寺尾とともに立ち上げました。

寺尾さん:はい!もうひとりの発起人、寺尾です。今日は私もぜひ同席させてください。

左:寺尾さん 右:保坂さん

きむ:聞くところによると、サウナ部発足の日、御社の敷地内に突如テントサウナが登場したらしいですね。この辺りのサウナー仲間で話題になってましたよ。

保坂さん:テレビ取材も受けましたので、ご存じの人もいらっしゃいますよね。部員募集も兼ねて行なったテントサウナ体験会が、我がサウナ部の最初の活動となりました。

きむ:部活発足日のことをもっと教えてください。

寺尾さん:2023年6月30日。社員寮の前にテントサウナを立てました。そこは社員駐車場にもつながる場所です。

ASPINAシナノケンシサウナ部提供

保坂さん:多くの社員が通る場所に設置することで、「突如テントが現れたけれど、一体なんだ!?」「煙も出ているけれど、大丈夫か!?」と注目してもらえるかもと思ったんです。

きむ:当日の反響はいかがでしたか?

保坂さん:事務局3名を含め、7名でサウナを楽しみました。体験会に参加する予定ではなかったけれど、テントサウナを実際に見ることで体験につながった人もいました。

きむ:選んだ場所が、功を奏しましたね!体験した人の感想は?

保坂さん:新入社員の人が、サウナに入ったあと「シナノケンシに入社して本当によかったです」と熱く語ってくれました。入部ではなく入社ですよ!

きむ:最高の言葉ですね。

保坂さん:その場でサウナ部のグループLINEを作り、サウナ部の活動が正式に始まりました。

サウナは距離感ゼロのコミュニケーションツール!

きむ:立ち上げのきっかけは何だったのでしょうか?

保坂さん:私と寺尾はもともとサウナーで、普段からサウナの話をよくします。ある日、昼食を食べながらサウナのよさを語り合っていたんですが…。

寺尾さん:サウナはコミュニケーションツールである、という見解で一致しまして。

保坂さん:私たちはともに総務本部人事部に所属しており、普段から人材育成や働く環境について考えています。「サウナ部を作ったら社内がもっと活性化するのでは!?」となり、発足に向け動き出すことにしました。

きむ:人事の方ならではの目線ですね!

寺尾さん:サウナと水風呂、いうなれば灼熱地獄と冷却地獄を経て、外気浴でリラックス。ととのうプロセスを一緒に味わえるのは、他では得られない共有体験です。

保坂さん:服を脱いで入るからこその距離感ゼロコミュニケーション!

きむ:確かにそうですよね。一緒にサウナに入ると、心の壁がなくなる感じがします。サウナ部の立ち上げを決めた後はどのように?

保坂さん:寺尾が上司にプレゼンしました!

寺尾さん:「巷ではサウナがブームですが、単にブームだからサウナ部を作りたいのではないのですよ。ウェルビーイングだけでなく、人とつながるきっかけにもなるんです!企業にとっての福利厚生にもなり得ます」と力説して(笑)。

きむ:状況が目に浮かぶようです。

保坂さん:まさに我々が掲げている健康経営という視点で、サウナは非常に重要なツールになると思うんです。

きむ:普段から健康経営においての課題感をお持ちだったのでしょうか?

保坂さん:やはり、社員のみなさんには心身ともに健康でいてほしいですね。人手不足もあり、みなさん本当に大変な中で働いていることは感じているので、少しでもみなさんの健康につながればという思いがあります。

きむ:なるほど。

保坂さん:社員全員がサウナに目覚めてくれれば最高です。サウナが社内コミュニケーションの新しい風となればうれしいな、と思っています。

サ活で深まるつながり

きむ:サウナ部の部員は何名いらっしゃるのですか?

保坂さん:2023年10月の時点で8名が在籍しています。

きむ:普段はどのような活動をしていらっしゃいますか?

保坂さん:部員同士でサ活の情報交換をしています。サウナギアを使ってみての感想や、サウナ専門誌の記事など、気になることをみんなでシェアしています。

きむ:それ、大事ですね。

保坂さん:先日は上田市のhyvä sauna(ヒュバサウナ)へ行き、全員でととのい体験!みんなで「最高だよね~」と言いながら、時間と空間を共有できて本当に心地よかったです。

きむ:素晴らしい。

ASPINAシナノケンシサウナ部提供

保坂さん:部員の誰かがサウナ飯を作り、みんなで食べることもします。

きむ:サウナ飯を手作りで!

保坂さん:毎回大盛りあがりです。部員の年齢層には幅があり、一番年上と年下だと親子ほどの年の差があります。部署もさまざまですが、サウナだと変にかしこまることなくコミュニケーションが取れるのは不思議ですね。

ASPINAシナノケンシサウナ部提供

寺尾さん:サウナ部活動を通して生まれた熱い思いは、きっと仕事へのモチベーションにもつながっていくと信じています。熱い思い=灯火を絶やさないようにしたいなと思います。

きむ:サウナで社員の心に火を灯す。ステキですね。

サウナから広がる会社の未来

きむ:今後のサウナ部の展望・野望はありますか?

保坂さん:サウナを通して社内の景色を変えていけるとうれしいです。

きむ:具体的には?

保坂さん:サウナ部の活動をみていると、部員の笑顔が増えていると感じています。仕事でもプライベートでも忙しいと感じている人ほど、サウナを体験してほしいです。そのために、たくさんの社員に「サウナに沼ってもらう」作戦をいろいろ考えています。

きむ:沼作戦の内容は?

保坂さん:月に1度の定期サウナ会で部員以外の人を巻き込んでいこうかと。あとは他の会社のサウナ部との交流もできたらいいなと考えています。

きむ:いいですね。

保坂さん:発足したばかりなので、あくまで予定ですが、どんどん楽しいことを仕掛けていきたいと考えています。個人のウェルビーイングはもちろん、企業にとってもきっとメリットがあると思うので。

きむ:サウナ部があると聞くだけで、企業文化の柔軟さを感じられます。

保坂さん:あと、今回のサウナ部を立ち上げてみて感じたのですが、部の発足を通して「挑戦できる」という企業文化をみなさんに知ってもらえたと思っています。

きむ:なるほど。

保坂さん:当社は、自ら考えて自ら行動することを大切にしています。サウナ部も、いち社員が提案し、実際にカタチになりました。誰の提案でもそれがよいものであれば実現できる企業文化があることを、みなさんに見ていただけたかと。今後の採用活動でも事例としてお話したいと考えています。

きむ:素晴らしいですね。

寺尾さん:当社は、グローバルに活躍するための目標のひとつとして「シナノケンシの真の資産は人であり、社員にとっての会社の魅力を大きくすることを目標とします」と掲げています。

きむ:はい。

保坂さん:そのためにもオープンイノベーションによって会社全体を成長させていきたい。サウナはその目標に大きく寄与すると考えます。サウナはそのくらい価値のあるコミュニケーションツールです。これからもっともっと部員を増やし、コミュニケーションを深めていきたいですね。ゆくゆくは、サウナハットやサウナTシャツなど、サウナ部公式のサウナグッズも作りたいです。

きむ:サウナ部の絆が深まりそう!

保坂さん:当社の企業ブランド「ASPINA(アスピナ)」カラーを配色したら盛り上がるかな。今後、サウナを通して、会社の未来を切り拓いていきたいです。

きむ:御社とサウナ部の発展に期待しています!本日はありがとうございました。

シナノケンシ株式会社
website:https://jp.aspina-group.com/ja/
住所:長野県上田市上丸子1078

<聞き手>
きむくみ
コワーキングスペースのような研究所「Gokalab」にいる人。教育、ライティング、エディターなどを経て、現在は飲食事業・コワーキングスペースの運営に携わる。会社の敷地内にサウナ小屋を作ったことをきっかけに、サウナ関連プロジェクトにもかかわっている。