INTERVIEWインタビュー

TOPインタビューチーム力で作り上げる心地よさ。「森の中でととのう体験」を提供したい~軽井沢 kaveri~

チーム力で作り上げる心地よさ。「森の中でととのう体験」を提供したい~軽井沢 kaveri~

チーム力で作り上げる心地よさ。「森の中でととのう体験」を提供したい~軽井沢 kaveri~

国内有数のリゾート地としてその名を馳せる長野県軽井沢町。多くの観光客が訪れるエリアのほかに、かつての宿場町の面影を残した情緒豊かな地域もあります。軽井沢・追分エリアには、江戸時代に中山道と北国街道の分岐宿として栄えた古きよき面影が漂います。そんな追分に2023年11月、サウナ施設 kaveriがオープン。「軽井沢の深い森に抱かれた、本格フィンランドスタイルのサウナ」とうたうkaveriに浅間サウナラインは興味津々。同施設運営会社代表・ケンさんに話を伺いしました。

フィンランドスタイルの個性派サウナが3棟

きむ:軽井沢を貫く国道18号線沿いにあるこの白い建物、気になっている人も多いはず。まさかここにサウナができるなんて!

ケンさん:ここは追分といって、旧軽井沢などいわゆる中心部からは少し離れた場所。かつての宿場町の風情も感じられ、落ち着いた雰囲気が魅力のエリアです。

きむ:建物の裏には木々がたくさんはえていて、小川も流れて。まるで森に迷い込んだようですね。

ケンさん:軽井沢の深い森に抱かれるフィンランドスタイルアウトドアサウナをコンセプトにしています。サウナと自然との融合はkaveriの自慢です!

きむ:kaveriには個性の違うフィンランドスタイルのサウナ小屋が3棟ありますよね。それぞれのサウナ小屋の特徴などを教えてください。

valko(ヴァルコ)

ケンさん:まず最初に紹介するのはvalko(ヴァルコ)です。フィンランド語で「白」を意味します。その名の通り、白い壁に登り窯風の傾斜が特徴のサウナ小屋。ストーブが大きく、ロウリュすると熱が傾斜を駆け上り、気持ちの良い熱波がダイレクトに感じられます。

きむ:3段あると、その時の体調で座る場所が選べていいですね。

ケンさん:室内は照明を落とし、少し暗くしています。定員6名ですが、寝転がれるくらい広さは十分です。

käpy(カピュ)

ケンさん:こちらはkäpy(カピュ)です。フィンランド語で「松ぼっくり」を意味します。こちらは、ピザ窯からヒントを得てドーム構造にしているんです。

きむ:丸くてかわいい!ドーム構造だと、どのような効果が?

ケンさん:熱を逃がしにくいと言われています。valkoと同じくkäpyも断熱に力を入れていて、ロウリュすると長時間熱波が滞留する感じがあります。上からふわーっと熱が降り注ぐような感覚です。

きむ:中もとっても素敵な作りですね!

ケンさん:松ぼっくりのような構造を実現するために、ものすごく手間がかかりました。でも、お客さまに対してのアイキャッチにもなるし、kaveriには絶対に必要だと思って頑張って作りました。

きむ:とてもインパクトがあります。

talvi(タルヴィ)

ケンさん:最後のひとつが、小型バレルのtalvi(タルヴィ)。フィンランド語で「冬」を意味します。4名まで入れます。

きむ:入り口と反対側に備えられた半円の窓ガラスがいい感じですね。

ケンさん:ここからの眺めがすばらしいんですよ。軽井沢の自然を愛でながらサウナに入れるのって、大きな魅力だと思うんです。夜になると間接照明もつきますので、ムーディーですよ。

きむ:kaveri全体を通しての推しポイント、もっと教えてください!

ケンさん:うちはフィンランドのサウナブランド・HARVIA(ハルビア)の代理店もしているので、ストーブや水風呂など、多くがハルビア製です。

ケンさん:サウナ小屋の木材には主にウェスタン・レッドシダーを使用しています。ヒノキの仲間ですが、香りが格別に違う!いい香りに満たされますよ。

ケンさん:あとは、ととのいスペースのロケーション。小川の近くで、せせらぎを聞きながら、存分に癒されてください。

きむ:センターハウスの中や更衣室も整っていますよね。シャワーやアメニティ完備で最高です。こういう配慮は、女性にとって非常に嬉しいです。

ケンさん:オリジナルのサウナ飯もありますよ!

鶏飯やキーマカレー、自家製ジンジャーエールなど飲食も充実

「何かにチャレンジしたい」という想いがサウナで形に

きむ:ケンさんは昔からサウナがお好きだったんですか?

ケンさん:いえいえ、実はそんなことないんですよ。温泉は好きなので、温泉施設併設のサウナには入っていました。アウトドアサウナに目覚めたのは最近で、移住した後ですね。

きむ:どのようなきっかけで?

ケンさん:知り合いが長野県信濃町の野尻湖にあるThe saunaに連れて行ってくれたんです。3年前の真冬のことでした。

きむ:真冬にThe sauna!

ケンさん:今まで入っていた温泉施設のサウナと体感が全く違う!それに衝撃をうけました。体の温まり方や汗の出かたも違いを感じましたし、なんといってもあの大自然中でととのう体験がすばらしくてこれぞサウナだと感動しました。

ケンさん:The saunaに行くのと前後して、自宅の庭でテントサウナも体験しました。やはり自然の中で、薪ストーブでととのうサウナって最高だなと。そこからみるみるサウナにハマっていったんです。それに、テントサウナや貸し切りサウナだと、一緒に入った人とコミュニケーションがとれるでしょ。サウナだと自然と会話が弾むんですよね。

きむ:わかります。

ケンさん:ビジネスの世界だとどうしても会社や肩書がついて回るけれど、サウナだと立場・年齢・属性・性別など全く関係なくいろいろな人と対等につながれます

きむ:本当にそうですね。

ケンさん:サウナの魅力にどっぷりハマったのと同じタイミングで、「新しいことにチャレンジしたい」という想いも持ち始めていました。これまで東京で、ITの世界で働いてきて、やりがいもあったし、成果も挙げてきたという自負はあります。でも、ちょっとしんどくなってきたな…という気持ちがあったんですね。現在52歳ですが、40代半ばを過ぎたあたりから「これまでの生活を変えて、新しいことを始めたい」と。

きむ:なるほど。それでサウナ事業を始められたんですね。

ケンさん:そうです。そして、サウナ事業を始めるにあたっては、御代田で仲間と出会ったことも大きく影響しています。

kaveriの魅力を引き出す総合力

ケンさん:kaveriは、4人で経営しています。福元さんはご近所さんで、自然と仲良くなっていったんです。

きむ:ご近所さんと一緒に経営。おもしろいですね。

ケンさん:経営に至るまでの経緯は、2022年の夏ごろ、彼らの知り合いが軽井沢でハルビアの代理店をやってくれる人を探しているというところからで。僕は何か新しいことにチャレンジしたいと考えていたので、その話を聞いて「よし、やろう!」と。

きむ:即決!?すごいなぁ。

ケンさん:そこからトントン拍子に話が進み、秋には代理店事業の準備を始め、年明けの2023年から正式にスタートしました。

きむ:早い…!

けん:代理店事業も順調に滑り出して行ったのですが、今後の展開のためにもう1本事業の柱がほしいと考えていたんですよ。

きむ:それがサウナ施設の運営?

ケンさん:はい。マーケットを見るとサウナ人口は減っていますが、コア層は減っていないので、可能性はあると見込みました。都会にいるコア層は、自然の中のサウナを体験したことがない人もいっぱいいるだろうし、私がThe saunaで衝撃を受けたような感動体験を提供できたらいいなと。

きむ:ケンさんと福元さんの出会いから、kaveriが生まれたんですね。

ケンさん:現在の4人がそれぞれの立場で意見を出し合い、みんなで支え合ったからこそ、ここまでこれたのかなと思っています。

きむ:私、オープン直後にkaveriに入らせていただきましたが、細部へのこだわりから総合力の高さを感じるなと思っていたんですよ。

けん:そうですか!

きむ:サウナへの力の入れ方はもちろんですし、お客様対応のきめ細やかさ、サ飯のおいしさまで、一人では作りこめないものというか。それは、ケンさんがおっしゃる仲間との出会いが作り出したクオリティなんですよね。

ケンさん:そうです。チーム力こそがkaveriなのです。

観光客にも地元の方にも愛されるサウナを目指して

きむ:オープンして半年が経ちますが、これから大切にしていきたいことは?

ケンさん:軽井沢にいらっしゃる観光客だけでなく、地元の方にも来てほしいと思っています。土地柄、観光シーズンだけの営業も可能ではありますが、それだとサスティナブルではありませんよね。この地にサウナをオープンさせるまでには、たくさんの地元の方にお世話になっています。恩返しというと大げさかもしれないけれど、地元の方に愛していただけることを願っています

きむ:確かに。この総合力が作り出す心地よさを、より多くの人に体感してほしいと思います。

ケンさん:そのために、引き続き4人で力を合わせ、サウナ施設としての総合力を高めていきたいですね。総合力っていろんな人の力をうまく融合させることだと思っています。自分だけでは限界でも、4人なら可能になることってあるでしょ!

きむ:今後の展望は?

ケンさん:短期的な目標としては、しっかり集客し、認知してもらい、施設として安定して稼働できるベースラインを作ることです。ベースラインを作ることで、細かい部分の修正や改善ができるので、さらにサウナ施設の完成度を高められると考えています。

きむ:はい。

ケンさん:ベースラインがある程度できたら、お客さまにより一層喜んでいただくイベントを開催する予定です。

きむ:楽しみです。

ケンさん:サウナを体験したことのない方もいっぱいいらっしゃるでしょう。だから、たくさんの方にサウナのよさを知ってもらいたいんです。サウナが生活の一部になり、身近なもの、当たり前のものになってほしいですね。

きむ:そうですね。kaveriの今後の発展に期待しています!

kaveri
website:https://kaveri-sauna.com/
住所:長野県北佐久郡軽井沢町追分1372-6 still 内
電話番号:050-3574-6600
利用可能時間:12:00~22:00の4部制

<聞き手>
きむくみ
コワーキングスペースのような研究所「Gokalab」にいる人。教育、ライティング、エディターなどを経て、現在は飲食事業・コワーキングスペースの運営に携わる。会社の敷地内にサウナ小屋を作ったことをきっかけに、サウナ関連プロジェクトにもかかわっている。